「ひとり親 医療費助成」や「マル親」で検索してたどり着いた方へ。先に伝えておきたいことがあります。
この制度は、名前も中身も、自治体でかなり違います。 「マル親」「ひとり親家庭等医療費助成」など呼び方はさまざまで、対象年齢も、所得の上限も、どこまで無料になるかも、地域で変わります。だから、この記事に「いくら」という数字はほとんど出てきません。どこを確認すればいいかの地図として使ってください。
わたしは20年、この助成を使ってきました。引っ越しも経験して、自治体ごとの違いにも何度か戸惑いました。その実感をもとに、押さえておくポイントを整理します。
この記事は、複数の自治体の公式情報にもとづく整理です。金額・所得制限・対象年齢は自治体で異なり、変わることもあります。実際の内容は、必ずお住まいの市区町村の窓口で確認してください。
どういう制度か
ひとり親家庭等医療費助成は、ひとり親家庭の親と子が病院や薬局で払う医療費の自己負担分を、都道府県と市区町村が助成する制度です。
呼び名は自治体でばらばらです。「マル親」と呼ぶところ、「ひとり親家庭等医療費助成」と正式名で呼ぶところ、どちらもあります。
児童扶養手当とセットで案内されることが多く、所得制限が児童扶養手当と同じ基準になっている自治体もよくあります(→ 児童扶養手当は父子家庭ももらえる?)。
わたしは、児童扶養手当の申請に窓口へ行ったとき、担当の方から「医療費助成も一緒に申請できますよ」と言われて、その場で出しました。セットで案内されることが多いので、手当の申請のついでに聞いてみてください。
対象になるのは
多くの自治体で、対象はおおむね次のようになっています。
- ひとり親家庭の親本人
- 18歳になった年度の3月31日までの子(障害がある場合は20歳未満まで、とする自治体が多い)
そして、所得制限があります。限度額は自治体で違いますが、児童扶養手当と同じ基準にしているところが多いです。児童扶養手当が全部支給停止になる所得だと、医療費助成も外れる、というイメージです。
生活保護を受けている場合は対象外(そちらで医療費が見られるため)など、除外もあります。
わたしは、所得が上がって児童扶養手当が全部支給停止になった年、医療費助成も一緒に外れました。この2つは連動していることが多いので、片方が変わったら、もう片方も確認してください。
どこまで軽くなる?(保険診療分だけ)
助成されるのは、保険診療の自己負担分です。窓口で3割払っている、その部分が対象になります。自治体によっては、そこからさらに決まった額(一部負担金)を差し引いた分を助成します。
住民税が非課税の世帯は、自己負担なしで助成する自治体もあります(住民税非課税については → ひとり親の税金がわかる)。
一方で、助成の対象にならないものがあります。
- 健康診断、予防接種、差額ベッド代、薬の容器代、選定療養など、保険がきかないもの
- 高額療養費や、健康保険組合からの付加給付に当たる分(先にそちらで戻る前提です)
わたしが入院したとき、高額療養費で戻ってくる分は、医療費助成の対象から外れました。二重には戻ってこない、と考えておくと混乱しません。
使い方:現物給付と償還払い
助成の受け取り方には、2つのパターンがあります。ここが自治体でいちばん分かれるところです。
現物給付
医療証(受給者証)を、保険証と一緒に病院の窓口で出します。すると、その場で自己負担分が軽くなる、または無料になります。あとの手続きは要りません。
償還払い
窓口ではいったん自己負担分を払います。あとで「医療費支給申請書」に領収書を添えて市区町村に請求し、後日、指定の口座に振り込まれます。
厄介なのは、同じ自治体でも、都道府県の外の医療機関にかかると償還払いになることが多い点です。旅行先や里帰り先で受診したら、領収書を必ず取っておいてください。
制度を実際に使ってみて、どこでつまずき、どう動いたか。手続きとお金の当事者としての記録は、有料note「シングルファザー、はじめの1年 ― 20年やってきて振り返る、手続きとお金でつまずいた話」(¥580)にまとめています。この記事は一般的な仕組み、noteは実体験、という分担です。
わたしは引っ越したとき、前の自治体は現物給付、次の自治体は償還払いでした。その日から、病院の領収書を1年間は捨てないクセをつけました。
子ども医療費助成との関係
医療費を軽くする制度は、これ一つではありません。
- 子ども医療費助成:子どもの医療費を助成する制度。ひとり親でなくても対象です。年齢や自己負担の有無は自治体差が大きいです。
- ひとり親家庭等医療費助成:この記事の制度。親と子が対象です。
自治体によっては、子の医療費は子ども医療費助成で、親の医療費はひとり親家庭等医療費助成で、と役割が分かれています。両方が重なって二重に助成される、ということはありません。
どちらも、申請しないと始まりません。窓口で「うちの子と自分は、どの制度で医療費が見られますか」と聞くのが早いです。
申請と更新
申請に持っていくもの(自治体で細部が違います)
- 健康保険証(または資格確認書など)
- 児童扶養手当証書、または遺族年金証書(どちらもなければ戸籍謄本)
- 振込先が分かるもの
- 本人確認書類、マイナンバーが分かるもの
毎年、更新がある
多くの自治体で、毎年(8月が多い)更新の手続きがあります。児童扶養手当の現況届と同じ時期に案内が来ることが多いです。更新しないと、医療証が使えなくなります。
引っ越したときは、転入先の市区町村で新規に申請し直します。前の自治体の医療証は使えません。
わたしは一度、更新の案内が届かないまま、医療証の期限が切れていたことがありました。窓口で気づいて、あわてて手続きしました。引っ越したら住所変更を忘れずに。案内が届かない事故を防げます。
子が18歳の年度末を過ぎたら
子の分の助成は、18歳になった年度の3月31日で終わります。その後は、多くの自治体で子ども医療費助成も対象から外れ、成人としての自己負担(原則3割)に戻ります。親の分の助成も、子が対象年齢を過ぎてひとり親家庭でなくなれば終わります。
医療費の負担が重いときは、健康保険の高額療養費(同じ月の自己負担が上限を超えた分が戻る/年に何度も該当すると上限が下がる「多数回該当」など)や、障害がある場合の医療費助成を、窓口で相談してください。
まとめ
- 名前も中身も自治体で違う。まず窓口で「うちの制度はどうなっているか」を聞く
- 助成は保険診療の自己負担分だけ。高額療養費や保険外は対象外。二重には戻らない
- 現物給付か償還払いかで、領収書の扱いが変わる。県外受診は償還払いになりがち
- 所得制限は児童扶養手当と連動する自治体が多い
- 毎年更新。引っ越したら申請し直し
- 児童扶養手当の対象・所得 → 児童扶養手当は父子家庭ももらえる?
- 住民税非課税との関係 → ひとり親の税金がわかる
- 使えるお金の全体像 → お金・制度・手当 完全ガイド
- 制度を実際に使ってみてどうだったか → 有料note「シングルファザー、はじめの1年 ― 20年やってきて振り返る、手続きとお金でつまずいた話」(¥580)
参考にした公式情報(一次情報)
※ 内容は2026年8月時点で確認したものです。制度・金額は変わることがあります。