「国民年金 払えない」で調べてたどり着いた方へ。先に、いちばん大事なことを言います。
払えないなら、黙って放っておかず、必ず「免除」か「猶予」の申請をしてください。 何もしないで未納にするのが、いちばん損をします。
なお、この話は、自営業・フリーランス・無職・厚生年金に入っていない働き方の人(国民年金の第1号被保険者)向けです。会社員で厚生年金に入っている人は、給料から天引きされているので、基本的にこの記事の話は関係ありません。
この記事は、日本年金機構と自治体の情報にもとづく整理です。所得の基準は見直されることがあります。実際の判定や手続きは、市区町村の国民年金窓口または年金事務所で確認してください。
まず「未納」にしない
保険料を払えないとき、取れる道は3つです。
- 払う
- 免除・猶予を申請する
- 何もしない(未納)
このうち、3の未納がいちばん損です。理由は2つあります。
- 未納の期間は、将来の老齢年金に1円も反映されません
- 未納が続くと、障害年金や遺族年金を受けられなくなることがあります。万一、あなたに障害が残ったり、亡くなったりしたとき、要件を満たさず、子が遺族基礎年金をもらえない、ということが起こり得ます
一方、免除や猶予を申請して認められれば、その期間は「受給資格期間」にカウントされ、障害年金・遺族年金の対象にもなります。申請しておくだけで、いざというときの備えが残ります。
わたしは一時期、収入が落ちて、年金どころではありませんでした。未納のまま放っておこうとしたのですが、窓口で「免除の申請だけでもしてください」と言われて出しました。あれをやっていなかったら、と今でも思います。
免除の4区分と、納付猶予
免除(4段階)
全額免除/4分の3免除/半額免除/4分の1免除の4段階があります。前年の所得(本人・配偶者・世帯主の分)で判定されます。
全額免除の所得の目安は、次の式です。
(扶養親族等の数 + 1)× 35万円 + 32万円
扶養する人がいない単身なら、前年の所得が67万円以下が目安です。
さらに、ひとり親・寡婦・障害者は別枠があり、前年の所得が135万円以下なら全額免除に該当します(給与収入のみなら約204万円未満)。ひとり親は、この特例で通りやすくなっています。
納付猶予(20歳以上50歳未満)
免除とは別に「納付猶予」があります。こちらは本人と配偶者の前年所得で判定され、世帯主は見ません。親と同居していても、自分(と配偶者)の所得が低ければ通りやすい、という違いがあります。
わが家がどの区分で認められたか、収入が戻ってから追納したときの話は、有料note「シングルファザー、はじめの1年 ― 20年やってきて振り返る、手続きとお金でつまずいた話」(¥580)にまとめます。
わたしは、ひとり親の特例で、思っていたよりあっさり通りました。基準を細かく気にするより、まず出してみることです。
免除すると、将来の年金はどうなる?
ここが、いちばん誤解されているところです。「免除=将来の年金がゼロ」ではありません。
保険料は、実は半分を国が負担しています。だから、全額免除の期間でも、満額の2分の1は将来の年金に反映されます(平成21年〔2009年〕3月以前の期間は3分の1)。
- 4分の3免除の期間 → 満額の8分の5が反映
- 半額免除の期間 → 満額の8分の6が反映
- 4分の1免除の期間 → 満額の8分の7が反映
一方、納付猶予と学生納付特例の期間は、年金額には反映されません(ゼロ)。ただし、受給資格期間にはカウントされます。
まとめると、全額免除でも「未納」よりはずっとまし。半分は残ります。
わたしは「免除を受けたら、その分の年金はもう戻らない」と思い込んでいました。実際は、全額免除でも半分は積み上がります。それを知って、少し気が楽になりました。
あとで納める「追納」ができる
免除や猶予を受けた期間は、10年以内なら、あとから保険料を納めて(追納して)、満額に近づけられます。
- 追納は、古い年度から順に納めます
- 2年度以上前の分を追納すると、当時の保険料に加算金がつきます。収入が戻ったら、なるべく早めに
わたしは、収入が戻った年に、少しずつ追納しました。全部は無理でも、できる分だけでも将来が変わります。
申請のしかた
- 窓口:市区町村の国民年金の窓口、または年金事務所。マイナポータルでの電子申請もできます
- 持ち物:基礎年金番号が分かるもの、本人確認書類。仕事を失ったばかりなら、離職票や雇用保険受給資格者証(失業の特例で審査されます)
- さかのぼり:申請したときの、2年1か月前までさかのぼって申請できます。過去に払えていなかった分も、救済されることがあります
- 毎年:全額免除は、申請書で「翌年度以降も継続を希望する」にしておけば、翌年からは自動で審査されます。一部免除(4分の3・半額・4分の1)は、毎年申請が必要です
わたしは、一度出したときに「継続希望」にチェックを入れました。毎年の出し直しを忘れて未納になる、というのを防げます。
障害年金を受けている場合(法定免除)
自分が障害基礎年金の1級・2級を受けるようになると、届け出れば保険料が全額免除(法定免除)になります。
ただし、その期間は将来の老齢年金が減ります。あえて保険料を納めたり、あとで追納したりする、という選択肢もあります。どちらがよいかはケースによるので、年金事務所で相談してください。
まとめ
- 払えないなら、未納にせず必ず免除・猶予を申請。障害年金・遺族年金の要件に関わる
- 全額免除でも、将来の年金の半分は残る(未納はゼロ)
- 猶予は年金額には反映されないが、受給資格期間にはなる
- 10年以内なら追納できる。収入が戻ったら、古い年度から早めに
- 一度申請したら「継続希望」に。毎年の出し忘れによる未納を防ぐ
- 所得の考え方・住民税非課税 → ひとり親の税金がわかる
- 手続きの段取り → 最初にやる手続きリスト
- 使えるお金の全体像 → お金・制度・手当 完全ガイド
- 実際にどの区分だったか・追納の話 → 有料note「シングルファザー、はじめの1年 ― 20年やってきて振り返る、手続きとお金でつまずいた話」(¥580)
参考にした公式情報(一次情報)
※ 内容は2026年8月時点で確認したものです。制度・金額は変わることがあります。