「資格を取って、収入を上げたい。でも、勉強している間の生活費が出せない」。ひとり親で働きながら、そう思ったことがある方へ。
公的な支援は、大きく2つあります。
- 自立支援教育訓練給付金:講座の受講料の一部を、修了後に戻してくれる
- 高等職業訓練促進給付金:資格の学校に通っている間、毎月の生活費を支えてくれる(+修了時に一時金)
そして、どちらにも共通する大事なルールが1つあります。受講や入学を始める「前」に、窓口で事前相談をすること。始めてしまってから申し込んでも、対象外になることがあります。
この記事は、こども家庭庁と複数の自治体の情報にもとづく整理です。対象・金額・実施状況は、年度と自治体で変わります。実際の内容は、お住まいのひとり親の相談窓口で確認してください。この記事は法務・税務の助言ではありません。
2つの給付金、何が違う?
まず、2つの違いを整理します。
| 自立支援教育訓練給付金 | 高等職業訓練促進給付金 | |
|---|---|---|
| どんな場面 | パソコン・簿記・医療事務・宅建・介護職員初任者研修 など、比較的短〜中期の講座 | 看護師・保育士・介護福祉士 など、養成機関(6か月以上)で取る資格 |
| もらえるもの | 受講料の一部(原則60%。上限あり) | 通っている間、毎月の生活費+修了時に一時金 |
| もらうタイミング | 修了後にまとめて(いったん自分で払う) | 在学中に定期的に |
どちらも、対象は母子家庭の母、父子家庭の父です。児童扶養手当を受けている、または同じくらいの所得水準であること、などが条件になります(詳しくは窓口で)。
わたしは、ひとり親になってしばらくして、「収入を上げるには、結局のところ資格や技術だ」と考えるようになりました。ただ、いちばんの壁は勉強そのものではなく、勉強している間、どうやって食べていくかでした。この2つの給付金は、その壁に対する制度です。
共通のルール:受講の「前」に事前相談
もう一度書きます。受講や入学を始めてしまってからでは、対象外になることがあります。
- 自立支援教育訓練給付金:受講開始のおおむね1か月前までに、ひとり親の相談窓口で就業相談を受けます。「その講座が、あなたの就職や転職に役立つ」と認められて、対象講座の指定を受ける必要があります。
- 高等職業訓練促進給付金:受講開始の前に事前相談。生活の状況、資格を取りたい理由、資格を取ったあとの見通しなどを聞かれます。
わたしは、受けたい講座を先に見つけて、危うくそのまま申し込むところでした。窓口が入口だと知らなかったのです。先に受講を始めていたら、給付の対象から外れていました。順番だけは、間違えないでください。
自立支援教育訓練給付金の中身
対象になる講座は、雇用保険の「教育訓練給付」の指定講座です。一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の3種類があり、その指定を受けている講座かどうかは、検索や窓口で確認できます。
もらえる額は、受講料の60%が基本です(下限があります)。
- 上限は、講座の区分で違います。専門実践教育訓練の講座は、一般の講座より上限が高く設定されています。
- 専門実践の講座を修了し、資格を取って就職などに進んだ場合は、戻る割合がさらに上がります。
金額や上限は年度で見直され、自治体によって実施の状況も違うので、この記事では具体的な上限額を書きません。窓口で、いまの条件を確認してください。
わたしが利用したときは、受講料をいったん自分で全額払い、修了してから申請して、あとで戻ってきました。「戻ってくるから大丈夫」と考えていると、受講料を払う時点で詰まります。手元のお金の準備は、別に必要です。
高等職業訓練促進給付金の中身
こちらは、6か月以上のカリキュラムで、対象の資格を取るために養成機関で学ぶ人が対象です。
対象になる資格の例は、看護師・准看護師・保育士・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・調理師・製菓衛生師などの国家資格、それにデジタル分野の民間資格(ネットワークやIT系)などです。対象は年々広がってきています。
もらえるのは、訓練期間中、毎月の給付です。
- 住民税が非課税の世帯と、課税の世帯とで、月額が違います(非課税世帯のほうが高い)。
- 修業期間の最後の1年間は、増額されます。
- 支給される期間は、最長で4年(48か月)です。
さらに、修了したあとに、まとまった一時金(修了支援給付金)が出ます。これも世帯の課税状況で額が変わります。
この給付金は、受け取っても税金の対象になりません(非課税の扱い)。※取り扱いが変わることがあるので、最新は窓口で確認してください。
わたしが窓口でどんな相談をして、給付と貸付をどう組み合わせる計画を立てたか。資格取得を考えたときの家計のシミュレーションは、有料note「シングルファザー、はじめの1年 ― 20年やってきて振り返る、手続きとお金でつまずいた話」(¥580)に書きます。
わたしは、資格の学校に本気で通おうと考えた時期がありました。止まっていた理由は、はっきりしていて、「通う数年間、どうやって暮らすのか」が見えないことでした。この給付金の存在を知って、はじめて「毎月これだけ入るなら、この固定費をここまで下げれば回る」と、紙に書ける計画になりました。
お金が足りないときの組み合わせ
給付だけで足りないときは、次のものと組み合わせます。
- 高等職業訓練促進資金貸付:入学の準備金や、就職の準備金を借りられます。一定期間きちんと就業すると、返済が免除される枠があります(実施しているのは都道府県の社会福祉協議会など)。
- 母子父子寡婦福祉資金の技能習得資金・生活資金(→ 別記事にまとめています)。こちらは原則、返します。
順番は、給付(返さない)→ 就業で免除される貸付 → 通常の貸付です。学校に通っている間は、どうしても家計が細ります。固定費の見直しも同時に進めてください(家計の記事も参考にしてください)。
わたしは、給付を計画の軸に置いて、足りない分を、返済が免除される枠のある貸付で埋める、という順番で、窓口の人と一緒に組み立てました。
手続きの流れ
- ひとり親の相談窓口で事前相談。児童扶養手当の受給状況がわかるもの、講座や養成機関のパンフレット・カリキュラムを持っていきます。
- 講座の指定、または受講の必要性の認定を受けます。
- 受講・入学します。
- 自立支援教育訓練給付金は、修了後に、領収書と修了証をそろえて申請します。高等職業訓練促進給付金は、在学中に定期的に申請します。
- 支給されます。
わたしは、領収書と修了証を、申請が終わるまで絶対になくさないように、専用のフォルダーに入れて保管していました。あとで「あの紙がない」となると、手続きが止まります。
資格取得の給付金の話は以上です。仕事を続けながら、働き方そのものをどう選んできたか(残業の少ない働き方・昇進を見送った判断・足りない分を副業で補った話)は、有料note2本目「シングルファザーと仕事 ― 続けるために、何を選んで何を手放したか」(¥380)に書いています。
まとめ
- ひとり親の資格取得支援は2つ。自立支援教育訓練給付金(講座の受講料の一部を修了後に)と、高等職業訓練促進給付金(資格の学校に通う間の毎月+修了一時金)
- どちらも対象は母子家庭の母・父子家庭の父。受講・入学の前の事前相談が必須
- 高等職業訓練は、課税・非課税で月額が違い、最後の1年は増額、最長4年。給付金は非課税の扱い(最新は窓口で確認)
- 自立支援は、受講料をいったん自分で払い、修了後に戻る。手元資金の準備が要る
- 足りない分は、返済免除の枠がある貸付 → 通常の貸付(→ 福祉資金の記事)の順で
- 使えるお金の全体像 → お金・制度・手当 完全ガイド
- 手続きの順番・全体の地図 → 最初にやる手続きリスト
- 足りない分を借りるとき → 母子父子寡婦福祉資金貸付金とは
- 非課税・ひとり親控除と税金 → ひとり親の税金がわかる
- 通学中の家計の組み立て → 父子家庭のリアルな家計
参考にした公式情報(一次情報)
※ 内容は2026年8月時点で確認したものです。制度・金額は変わることがあります。