「父子家庭 貸付」「母子父子寡婦福祉資金」で調べてこのページに来た方へ。先に、3つだけ押さえてください。
- これは公的な「貸付」=返すお金です。児童扶養手当のような、返さなくていい手当や給付とは別です。
- そのうえで、民間で借りるより条件は有利です(無利子〜年1.0%、借りる前に相談・面接があります)。
- でも、まず返さなくていい給付・手当を使ってから。足りない分を、この貸付で。
この記事は、こども家庭庁と複数の都道府県の情報にもとづく整理です。対象・限度額・利子・返済の条件は、年度と自治体で変わります。実際の内容は、お住まいの市区町村または都道府県の窓口で確認してください。借りるかどうか、返せるかどうかの判断は、個人の状況によります。この記事は金融・法務の助言ではありません。
まず整理:これは「借りる」制度。給付ではない
ひとり親の支援には、大きく2種類あります。
- 返さないもの:児童扶養手当、高校生等奨学給付金、高等教育の修学支援新制度、自立支援教育訓練給付金 など
- 返すもの:この「母子父子寡婦福祉資金貸付金」
この記事のお金は、後者です。借りたら、あとで返します。だからこそ、順番が大事です。返さなくていいものを先に使い、それでも足りない分を、この貸付で補う。
ただし、民間の消費者金融やカードローンとは、性格がまったく違います。公的な制度で、無利子〜低利。借りる前に、窓口で相談と面接があります。急いでいるときには「面接なんて」と思うかもしれませんが、この相談の過程で、返せる計画かどうかを一緒に見てもらえます。
わたしは、収入が不安定だった時期、「どうしてもお金が要るなら、民間で借りるしかない」と思い込んでいました。ひとり親の相談窓口で別の話をしていたときに、「まず公的な貸付を検討してはどうか」と言われて、この制度を知りました。知らないと、選択肢に入ってこない制度です。
誰が借りられる?どこで借りる?
対象は、20歳未満の子どもを扶養しているひとり親です。父子家庭の父も対象です。もともとは母子家庭と寡婦向けの制度でしたが、2014年の法改正で父子家庭が加わりました。名前に「母子」と「寡婦」が入っているので父は対象外だと思われがちですが、そんなことはありません。
借りる窓口(貸付主体)は、都道府県、指定都市、中核市です。市にお住まいなら市の福祉事務所、町村なら都道府県の健康福祉事務所が入口になります。銀行や信用金庫など、民間の金融機関では扱っていません。
わたしは「役所がお金を貸してくれる」という発想が、そもそもありませんでした。ひとり親の相談窓口が、そのまま貸付の相談窓口でもあった、という感覚です。
12種類の資金 ― よく使われるもの
この貸付金には、使い道ごとに12種類があります。ひとり親家庭でよく使われるものを中心に挙げます。
- 修学資金:子どもの高校・専門学校・大学などの授業料や通学費
- 就学支度資金:入学のときの、制服・教科書・入学金など
- 技能習得資金:親が、就職や開業のために資格・技術を身につける費用
- 修業資金:子どもが、就職のために技能を身につける費用
- 就職支度資金:就職に必要なもの(通勤用品・被服など)をそろえる費用
- 生活資金:技能習得中や、病気・けがで働けない間などの生活費
- そのほか:住宅資金、転宅資金、事業開始資金、事業継続資金、医療介護資金、結婚資金
このうち、修学資金と就学支度資金は、「子どもが借主、親が連帯借主」という形をとるのが一般的です(自治体により、親が借主で子が連帯借主のこともあります)。つまり、返す主体が誰なのかを、申し込みの時点ではっきりさせます。
わたしは、子どもの進学のときに修学資金を申し込みました。窓口で、名義は誰か、卒業後に返していくのは誰か、という話を、その場で子どもと一緒に確認しました。あとで「聞いていない」とならないように、です。
利子と連帯保証人
利子は、資金の種類と、連帯保証人を立てるかどうかで決まります。
- 無利子:修学資金・修業資金・就職支度資金・技能習得資金 など
- それ以外の資金:連帯保証人を立てれば無利子。立てなければ年1.0%(2026年時点。金利は見直されることがあります)
ここで大事なのは、連帯保証人を立てられなくても、借りられるということです。その場合は年1.0%の利子がつきますが、民間のローンと比べればかなり低い水準です。「保証人を頼める人がいないから無理」と、そこであきらめる必要はありません。
わが家が、進学のときにどの資金を、どういう名義で借りて、どう返していったか。借りる前に窓口の人と立てた返済計画のことも、有料note「シングルファザー、はじめの1年 ― 20年やってきて振り返る、手続きとお金でつまずいた話」(¥580)に書きます。
わたしは、連帯保証人を頼める相手がいなくて、しばらく悩みました。窓口で「保証人なしでも借りられます」と言われて、はじめて現実的な選択肢として考えられるようになりました。
返済(償還)のこと ― 借りる前に確認する
借りる制度なので、返済の条件は、借りる前に必ず確認してください。
- 資金ごとに据置期間があります。たとえば修学資金なら、在学中と、卒業後の一定期間は返済しなくてよい、という猶予です。
- 据置期間が終わったあと、分割で返していきます。
- 無利子の資金でも、返済が滞ると違約金(延滞利子)がかかります。
据置期間の長さや、返済の月額・回数は、自治体と資金の種類で違うので、この記事では具体的な数字を書きません。窓口で、自分のケースの返済表を出してもらってください。
子どもの修学資金のように、卒業後に子ども自身が返していく設計になっている場合は、その返済がいつから、いくら始まるのかを、子どもと共有しておきます。社会に出たばかりの子が、いきなり返済を背負って驚く、という事態を避けるためです。
わたしは、借りる前に「毎月いくらを、いつまで」を紙に書いて、窓口の人と一緒に確認しました。返す制度なのだから、返す計画から。順番はここでも同じです。
手続きの流れ
- 事前相談・面接が必須です。借受人(借りる人)、連帯借受人、連帯保証人と、それぞれ面接があります。
- 申請の受付から、実際にお金が交付されるまで、通常1か月以上かかります。
- 入学期や年度末は、申し込みが集中します。合格発表や入学の時期から逆算して、早めに相談してください。入学金の納付期限に間に合わせるのが、いちばんの山場です。
- 必要書類の例:戸籍、所得のわかるもの、使い道のわかる資料(見積書、合格通知、学費の納付書など)。
わたしのときも、事前相談から交付まで、思っていたより時間がかかりました。「お金が要る」と気づいてから動き出したのでは、間に合わないことがあります。進学を考え始めた時点で、一度窓口に顔を出しておくくらいでちょうどよいです。
借りる前に ― 先に確認したい「返さない」支援
繰り返しになりますが、借りる前に、返さなくていい支援を使い切ってください。とくに教育まわりは、給付が手厚くなっています。
- 高校生等奨学給付金:授業料以外の教育費(教材費・通学費など)
- 高等教育の修学支援新制度:大学・専門学校などの、給付型奨学金+授業料の減免
- 自立支援教育訓練給付金・高等職業訓練促進給付金:親が資格を取るための給付(→ 別記事にまとめます)
- 就学援助:小中学校の学用品費・給食費など(→ 別記事にまとめます)
これらはすべて、返しません。使えるものを使ったうえで、それでも足りない分を、この貸付で補う。そうすれば、借りる額そのものを小さくできます。
わたしは、給付を先に調べて申し込みました。結果として、借りる額を思っていたより小さくできました。まず給付、足りない分を貸付。この順番だけは、崩さないでください。
まとめ
- これは公的な「貸付」=返す制度。手当・給付とは別。順番は「給付・手当 → 足りない分を貸付」
- 対象は20歳未満の子を扶養するひとり親(父子家庭の父も。2014年〜)。窓口は都道府県・指定都市・中核市(民間の金融機関ではない)
- 修学・修業・就職支度・技能習得は無利子。その他は保証人ありで無利子、なしで年1.0%(2026年時点・改定されうる)。保証人がいなくても借りられる
- 据置期間のあと分割返済。無利子でも滞納すると違約金。借りる前に返済計画を
- 事前相談・面接が必須。交付まで1か月以上。入学期から逆算して早めに
- 使えるお金の全体像 → お金・制度・手当 完全ガイド
- 手続きの順番・全体の地図 → 最初にやる手続きリスト
- 親の資格取得の給付(返さない) → 自立支援教育訓練給付金・高等職業訓練促進給付金
- 学校の費用の補助 → 就学援助とは
- 借入も含めた家計の組み立て → 父子家庭のリアルな家計
参考にした公式情報(一次情報)
※ 内容は2026年8月時点で確認したものです。制度・金額は変わることがあります。